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賢者のおくりもの

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オー・ヘンリー 著 
リスベート・ツヴェルガー 画
矢川 澄子 訳

冨山房 版



もうクリスマスも過ぎてしまってすっかり年の瀬ですが、この絵本を思い出しました。
やっぱり基本に戻ってこれでしょう。

ストーリーを最初に知ったのは、むかーしのテレビCMでした。
幼心に素敵やなぁと思っていたのです。(や、でもあれはCMがうまかったのもあると思う)
タイトルを知ったのはもっと後、中学か高校生のときでしたが、これもまたいいですよね。
『賢者の贈り物』。結局お互いにとって役に立たないものを贈ってしまった『愚か者』を、クリスマスの三賢者にかけて『賢者』と呼ぶ、この含みが深いじゃないですか。

で、最近書店に並んでいるのを見たら、絵もよかった、という。
う~ん、リスベート・ツヴェルガーの絵が、またこの物語に合っているじゃありませんか。
単に美しいだけじゃなく、よくいえば清廉な雰囲気、悪く言えば貧しさとか侘しさがでています。
いくら美しい女性像が得意だからといって、これがアルフォンス・ミュシャではいけないわけです。彼の描く女性達は皆、『満ち足りた美しさ』を持ってますからね。
間違っても、金に困って髪を売っちゃうような生活はしてなさそう(笑)。
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by tou-g | 2005-12-28 03:33 | 書評(絵本)

閉店する絵本屋さんを偲んで

せっかくのクリスマスになんですが、ちょっと悲しいことがありました。
小さい頃母に連れられて通った絵本専門店が、閉店するというのです。
(しかしその事実を新聞で知るってのが、なんかすごいよな。)


店舗は住居の1階部分だけ、店主のおじさんとその奥様、ふたりだけで営業している小さな絵本屋さんです。しかし、いつも良い絵本を揃えていて、おじさんによる絵本の読み聞かせ会や、ときにはお芝居があったりして、店を知る人にはとても愛されたお店でした。

某絵本の王様ライオンの名前を屋号にかかげ、
道路に面する壁面には、落ち着いた色合いでそのライオンが描かれていました。
あったかい雰囲気の、本当に素敵なお店だったんですよ・・・!


閉店してしまうのが本当にさみしい。
閉店理由は、悲しいけれど売り上げの低下。
大量の在庫を抱えて、これ以上商売を続けていくことができなくなったそうです。

・・・そうですよね。
児童書というのは特に、専門で商売として扱っていくのが厳しい分野だと聞いています。
ゲームやら何やら、書物以外の子供の娯楽が増えた今日では、絵本を買う家庭も少なくなっていることでしょう。
そのなかで、絵本の販売だけで店をやっていくのは難しいんですね。


私はこの春から、ある本屋に就職します。
一応、それなりに大手の会社です。
ここだったら、大丈夫だよね。ちょっとぐらい在庫かかえてもつぶれたりしないよね。
人気がなくてもいい本、とかもちょっとは置けるだろうか。

やっぱり私は、あのお店のような『いい絵本』を売る本屋になりたい。
まあどうなるかわかりませんが。
できるなら、児童書担当になれるといいなぁ。
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by tou-g | 2005-12-25 22:10 | 日々

雪の日

ものすごく久しぶりの書き込み。

昨日は地元にしては非常に珍しく雪が降りました。
大阪や新潟では停電も起きたそうで、まさに冬の嵐でしたね。
うちの地元でこんなに積もった(といっても3~4cmですが)のは、私が生まれてからはじめての経験かもしれない。少なくとも、雪の翌日にまだ昨日の雪が残っていることなんてなかった。

とりあえず、こんな雪を初めて見るであろううちの猫を庭に放り出してみた。
寒さにくじけてあっという間に帰ってきた。


昨日は本当なら、奈良へゼミ見学会の予定だったのだけど、こりゃー電車止まって帰れなくなるわなぁと朝七時に判断してお休みしました。
どうやら正しい判断だったようです。
あ~、でも悔しいなぁ。唐招提寺だったのになぁ。

母の知人が職場から外を見ていると、自転車で下校しているらしい高校生くらいの男子学生が数人みえました。するとおもむろにその一人がすてん!と転んで「オレか!!」と叫んでいたそうです。直前までの会話が極めて端的にわかる、ナイスなひとことだと思いました。
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by tou-g | 2005-12-23 16:23 | 日々

紅葉

12月も半ばになりました。
紅葉の美しい季節もそろそろ終わりでしょうかね。

今年はわざわざ見に行ったわけではないけど、ゼミの見学会で素敵な紅葉を見ることができて満足です。

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上が兵庫県の一乗寺、下が岡山県の閑谷学校で撮ったもの。
嵐山とか、特別「紅葉の名所」といわれている場所に行ったわけではないので「山一面真っ赤!」とかいうことはなかったけど、それでも山々を見ると、渋い色みながらももこもこといろんな色が入り混じって、素敵な錦を見せてくれました。


あ、閑谷学校は二本の楷の木が有名だから、観光客は多かったです。
夏に行った友人は、人っ子一人いなかったって言ってたから、正直うらやましい。

一乗寺は完全に穴場でしたねぇ。
人も少なくてとても静かで、日本の秋を満喫できました。
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by tou-g | 2005-12-10 13:28 | 日々

世界で一番の贈りもの

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「世界で一番の贈りもの」
マイケル・モーパーゴ/作 
マイケル・フォアマン/絵 
佐藤見果夢/訳
評論社 





こどもよりも、大人が読んだほうが感じるものが多いのではないでしょうか。
実際に第一次大戦中に起きた、非公式クリスマス休戦のお話。
神様がどうとか、イエス様マリア様にこだわるのではなく、こんな奇跡のような出来事があることにこそが、クリスマスの神秘というか凄さだと思いました。

たまたま書店で手にとって、ひとり目頭を熱くしていました。
主人公が、古道具屋で買った古い机の中から手紙を発見、戦地の青年から妻へあてたその手紙のなかに、1914年に起きたクリスマス休戦の内容が綴られています。対峙していた英独両軍の兵士達が、クリスマスの一夜、互いに休戦を呼び掛け共にクリスマスを祝いあったというのです。

手紙全体から、書き手の、読み手に対する愛情が伝わってくるんですよ。


戦場では互いに殺し合う兵士達も、故郷へ帰ればそれぞれ趣味を持ち、悩みを抱え、家族や友人のいる一人の人間なのです。敵国の兵が、無事家族の元に帰れることを祈ることもある。
人間同士、好きで殺しあってるわけないじゃないですか。
正直、戦争がこの世から完全になくなることなんて無いと思います。
けれどやっぱり・・・虚しい行為ですよね。




最後の1ページが泣かせます。
ううっ、この文章にこの絵を持ってくるなんて…。
主人公はこの手紙を、本来の持ち主である老夫人に返しにいきます。

「ジム、帰ってきてくださったのね」

最後のページは彼女の主人公への、いえ今は亡き夫ジムへの言葉なのです。
そしてその挿し絵では、窓の外、雪のなかに手紙を携えて寂しげに佇む軍服姿の青年が描かれています。戦場から、生きて妻の元に帰ることのなかったジムは、ジムの心は、今、手紙とともに彼女のもとへ帰ることができたのでしょうか。
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by tou-g | 2005-12-08 22:25 | 書評(絵本)

クリスマスまであと9日~セシのポサダの日~

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作: マリー・ホール・エッツ/アウロラ・ラバスティダ
訳: 田辺 五十鈴
出版社: 冨山房
発行日: 1974年





サンタクロースの出てこないクリスマスのお話。
そうです。サンタクロースがプレゼントを配るばかりがクリスマスではないのです。

ぱっと見地味だけど、すごくいい絵本だと思います。

メキシコのクリスマスまでに行われるお祭りポサダのお話。
私たちがイメージする、サンタやらツリーやらプレゼントや雪だけが、クリスマスではないのですよ。まったくちがったやり方で、クリスマスを祝う人達もいる。
メキシコの人々がどんなものを食べ、住まいの中はこんなふうで、町中の様子はあんなふうで……と、生き生き写実的な描かれ方をしていて、とても興味深く、そういった意味でもとても面白い。
私のクリスマスイメージって貧困だったのね、と思う。


ポサダにはピニャタというお菓子や果物などを詰め込むくす玉のようなものが登場します。
ただ、くす玉とちがって、大きさや形はさまざまです。くまの形だったり、馬だったり。これを売っている市場のお店の様子はそれは楽しそうです。
このピニャタはポサダの日につるされ、子どもたちによって、割られる運命にあります。
セシという女の子が初めてポサダをするちょっとした小さな出来事がこの絵本の内容です。


小さな女の子の感情がつまっています。
ポサダの日を指折り数えて待つセシ。
たくさんのピニャタの中から自分のピニャタを選ぶセシ。
お祭りは楽しみで誇らしいのだけれど、大好きなピニャタは割られてしまうのです。

セシは木の陰に立って、手で顔を覆ってしまいます。
「みんなに、あたしのピニャタを割らせないで!」


・・・・・
胸がいっぱいになります。
他の子どもたちや大人たちにとって、たいしたことじゃないのかもしれない。
(そういう行事なんだしね。)
本人にとっても、大人になってから笑い話として思い出すこともあるでしょう。
けれど幼いころ、誰しもこんな哀しく切ない思いをしたことがあるんじゃないかな。

最後の結末がまた美しく、やさしい。
独特の色遣いで描かれた絵が、彼の地のあたたかい雰囲気を伝えてくれます。
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by tou-g | 2005-12-03 15:15 | 書評(絵本)