カテゴリ:書評(絵本じゃないもの)( 11 )

蟲師

今日一巻を買いました。
…たぶん全部集めると思います。素敵なお話だー。

『蟲』という存在を前提としたこの世界観が凄く好みです。非常に日本らしい、むかしばなしのようなおとぎばなしのような、そんなお話。
想像がつかない方は宮崎駿さんの『もののけ姫』をイメージしてください。あれとちょっと近いイメージです、映像的には。

この世には人間の目に見えないものもたくさん棲んでいて、我々はそれらを時には崇め、時には畏れしながらも、自然にその存在を受け入れ、互いに深入りしすぎずに共存していく。
そういう考え方が私はとても好きです。古来より八百万の神々を信じ崇めてきた、日本人らしい考え方ですよね。

私も基本的に、そうだったらいいな、と思っていて、さらにこの世界に棲んでいる、みえるもの、みえないもの、知ってるもの、知らないもの、それぞれたくさんの生命達がそれぞれ勝手に生きているんだけど、不思議とそれら全体を統べる大きな流れみたいなのがあって、なんだか知らないけどそれで世界がうまく廻ってて、まあそういう『流れ』こそが我々のことばで言うところの『かみさま』ってやつじゃないかと思うのです。世の中の宗教や信仰を否定するつもりはないのですが、『かみさま』なんてものは、それが一個人の意志を持ちだした時点で、もはやそれは『神』ではないと思うんだよね。


っていうかもうほとんど漫画の紹介じゃなくなってるんだけど。
深夜にアニメやってます。ものすごく深夜。夜中3時くらいだったか?
(深夜すぎて半分寝ながら夢うつつで見てた)
この前偶然みて、映像とか音楽とか、とにかく雰囲気が凄く綺麗でした。
ぜひ一度ごらんあれ。
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by tou-g | 2005-11-10 23:40 | 書評(絵本じゃないもの)

古き美しき女性

昨日、久しぶりに図書館に行きました。
実に興味深い写真集(?)を発見しました。

『幕末明治 美人帖』          新人物往来社
『幕末維新・明治・大正 美人帖』   新人物往来社

それぞれの時代の、美人さんの写真がたくさん載っているのですよ。
和服や洋服やドレス、男装の麗人やら芸妓さんやら、いろんな女性が写っています。
どの人もみなさん美しいのですが、ときどきほっんとうに、どきっとするような私好みの女性がいて困りました。図書館でひとりでにまにましていたので、周りから見るとさぞや不気味だったことでしょう。グラビアアイドルの写真集買ってにまにま見てしまう男の子の気持ちがわかりました。

ちょっと印象に残ったことを箇条書きで書いておきたいと思います。

・川上貞奴(「さだやっこ」と読む。日本人の『女優』第一号、らしい。海外でも有名)は、びっくりするくらい松平健に似ている

・陸奥宗光の妻、陸奥亮子さんがすっごく美人!というか、わたし好み。アーネスト・サトウも絶賛したらしい。涼やかな目元、それでいて力ある眼差し。日本人にしては彫りの深い顔立ち、意思の強そうな眉。それでいて物静かで清楚な雰囲気。プロフィールを見ても、その凛とした美貌にふさわしい真っ直ぐで賢い女性だったらしい。

・二人のかむろをしたがえた花魁の写真に、思わず息を呑みました。
本当、素敵な写真なんですよ、コピーとろうかしら。なんというか、とても誇り高い姿なんです。華やかに着飾っているというのに前方を見やる表情には媚がなく、こちらが呑み込まれてしまいそうな高貴な雰囲気を持つ立ち姿でした。簡単には触れられないかんじ。苦界で生き、花魁にまで登り詰めた女性だからこそ持ち得る空気なのでしょう。表情を消した二人のかむろも、まだ幼いにもかかわらず艶があります。



うわぁ、書けば書くほどマニアックになっていく気がします。もうやめとこう。
結局借りて帰ってきたので、また眺めてにまにまします。溜め息ものですよ、ふふふ。
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by tou-g | 2005-09-17 14:07 | 書評(絵本じゃないもの)

ここはグリーンウッド

久しぶりに自分で買って、こりゃ面白い!と思った漫画。
っていっても、全然最近の漫画じゃないんですわ。


『ここはグリーンウッド』①~⑪
那須雪絵
(白泉社 花とゆめCOMICS)

おお、うちの妹がうまれる前の漫画じゃん(連載開始が、ですが)。
古本屋で立ち読みして、衝動的に集めてしまいました。いや、面白い。
名門男子高の寮生達のドタバタ話なんですけど、主人公が最近ではちょっと見られない純情青年でして、みんなによってこって遊ばれて可愛がられて小突き回されてる感じが微笑ましいですね。(いまどきの話じゃ、好きな女の子に抱きつかれて鼻血出してしまう男の子なんていないでしょ(笑)?)
あと、何より作者が楽しんで描いてるなぁってのがすごく伝わってきます。
一応学園ものなのにけっこう何でもアリだよな。誘拐あり、幽霊あり、宇宙人(オイオイ)あり、パラレルあり。やりたいほうだいです。
「花とゆめ」だから確実に少女マンガに分類されるんだけど、男性が読んでも十分楽しめるかと思います。

けどこれ読んでて、あ~青春っていいなあ とか、遠い目してしみじみ思ってしまったりして(だって、体育祭とか文化祭とかやってるし)、ちょっと切なくなってしまいました。うおお、私もそんな歳かい!そうだよ、そんな歳だよ!

とりあえず高校生の妹に「今を楽しんどけよ」と言っときました。
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by tou-g | 2005-09-14 22:36 | 書評(絵本じゃないもの)

イバラード博物誌

d0043682_21185434.jpg井上直久氏の画集。

イバラードシリーズではどれでもよかったのだけど、雰囲気の伝わりやすそうな表紙の画像を選んでみました。
この絵の雰囲気。見覚えのある方がほとんどではないでしょうか?

そう、スタジオジブリ作品『耳をすませば』に出てきた風景ですね。
主人公、雫ちゃんの描く物語の中、つまり空想世界です。

猫の『男爵(バロン)』と雫ちゃんがふわっと飛んで行く場面。いやもう、私あの映像がほんとに好きで、ジブリ作品の中でも『耳をすませば』はかなり上位ランキングに入ってます。溜め息ものの美しさだよね~。

「いざ、御供仕らん。ラピスラズリの鉱脈を探す旅に!」

「午後の気流が乱れるとき、星にも手が届こう!」

意味はわからんけどバロンの台詞も素敵だ・・・。


そんなわけで、たまたま本屋で画集を見つけたときは嬉しかった。
思わず立ち読みして、作者の名前を控えて帰って、図書館に借りに行きましたね。(←ほんと、いい加減本買えよって感じですね。)
素敵なんですよ。どの絵も、溜め息をつきながら何時間でも眺めていたいような絵なのです。
独特の色遣いが不思議で、どこにも無い場所のようで、どこか懐かしいような風景。夢のなかでなら、こんな場所に立ったことがありそうな・・・

私は美術に関してはまるで素人ですが、井上氏の絵は実はとてもしっかりしたデッサン力の上に成り立っているのではないかと勝手に思います。実際にありえない空間を、ありえないような色遣いでもって表現しているわけじゃないですか。だから、よほど立体感とか遠近感とか陰影が正しくきっちりしていないと、ちゃんと空間があるように見えてこないと思うんですよね。
凄いな~。

さっき検索してみたら井上氏の日記(というかHP)を発見。
なんと、10月には神戸大丸で展覧会があるとな!?うわ、絶対行く!
web上でも素敵な絵がたくさん公開されているので、是非見てみてください。お勧めです。
http://www.artgallery.co.jp/iblard/
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by tou-g | 2005-08-19 22:26 | 書評(絵本じゃないもの)

夜のパパ

d0043682_23464654.jpg『夜のパパ』
マリア・グーぺ 作
大久保貞子 訳

夜だけの子守の仕事を引き受けた青年と、女の子のお話。
二人の交流が、相手の文を読まない交換日記のような形で描かれます。
なんだかお洒落でいい感じのお話。



成人男性から見た小さな女の子って、ある意味未知の生き物だと思うんです。
経験の差はもちろん、考え方も価値観も発想もぜんぜん違うし、さらにその表現方法も異なるでしょうから。彼女らは子供であると同時に既に女性ですし、本人達なりにいろいろ深く考えていることがあるから。


ちょっと余談ですけど、小さな女の子と若い父親(もどきも含む)の交流って、結構好きです。草薙剛主演のドラマ『僕と彼女と彼女の生きる道』とか、車のCMのトータス松本と女の子とか。あと、昔のCMにあった「君はあと何年、僕の恋人でいてくれるんだろう」という、父から幼い娘への言葉が好きでした。 別に自分の父親にはそんなもん求めとりませんが・・・(笑)


このお話では、『夜のパパ』と少女が互いを尊重し、思いあっているところが素敵だと思う。
そしてこの話のキーパーソン(?)はなんといってもフクロウのスムッゲル。彼がいるからこそこの物語は展開していきます。

さらに余談ですが。
私が図書館の書庫からだしてもらったのは1980年初版1刷本。私は断然こちらの装丁のほうが好きです(この記事の画像は復刻版)。画像でお見せできなくて残念。雨の中、鳥籠とバスケットを持った青年に、女の子が傘をさしかけて並んで歩いているところの絵です。
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by tou-g | 2005-07-16 01:56 | 書評(絵本じゃないもの)

鋼の錬金術師

d0043682_22171892.jpg
ガンガンコミックス
鋼の錬金術師①~⑩
荒川 弘

ああ、ついに載せてしまいました。
あまりにも人気がある漫画なので、ここに書くの躊躇ってたんですけども…。
正直に言います大好きです


今唯一続けて買っている漫画。今月末に映画が公開されるそうですね。
私はアニメをほとんど見ていなかったので、見に行っても話がわからないんですが。

私は断然コミックス派なのですが、この前初めて、小説版の4巻を買ってみたんです。なんかちょっと真剣に事件ものっぽかったので。
題材とかストーリーは面白かったのですが、私はやはり、漫画家荒川氏の描く『鋼の錬金術師』が好きなんだな、と実感しました。
なんというか、登場人物にしゃべらせすぎかなーと。漫画の登場人物達は、(気持ちとか)多くは語らず行動で示すような人達なんじゃないかと思います。あと、いい感じで捻くれてる人が多いと思います。(ストレートで直情馬鹿系のキャラクターよりこんなほうが好きです)

何の話だっけ?そうそう鋼錬の漫画ね。荒川先生の表現(演出)ってうまいなあ、と思った場面がいくつかあります。
あ、ちょっとネタばれかもしれないけど、知ってしまって後悔するような内容じゃないんで。

ひとつは主人公エドワード少年が、失踪中の父親とばったり再会するところ。いつもはみつ編みなのに、このときだけひとつくくりになってるんです、髪型が。父親の後ろ姿とかぶらせているんですね。おもわずいつ髪を結びなおしたのか読み返してしまいました。

もうひとつはマスタング大佐が東方司令部の老将軍に、中央への栄転を告げられる場面。二人でチェスをしていて何気なく告げられるんですが、このチェスという小道具がきいてる。初めて将軍に1勝し、「この1勝は餞別だ」と言われます。「餞別ついでに連れていきたい部下がいる」と言った大佐に、将軍は「うん、持ってけ」と、駒を収めたチェス盤を手渡します。
うまいなぁ…。セントラルという闘いの舞台(=チェス盤)と、信用に足る部下達(=駒)を手渡したわけです。

漫画家とか、お話を書いてる人って、いつもこんなこと考えてるんですか?すごいな。

以下、この漫画の好きなところをつらつら。
取り扱ってるテーマは重いのに話が暗くなりすぎず、テンポが良くて読みやすい。(最近はテンポが早過ぎるような気すらします。描き急いでるかんじ。)
しっかりした世界観が説得力を出してる。『錬金術』に関してもしっかりとルールができていて好きです。万能な魔法ではなくて、科学の一種なんですよ。(アニメのほうは、失礼ですがこのへんを魔法と混同してませんか?)ちなみに大学図書館では錬金術書は化学の本の棚にあります。
あとはやっぱり登場人物がいい。この漫画こそ、キャラ萌えファンが多いでしょう!いいです認めます。私にもキャラ萌え傾向がありますよ。(さっきも児童書『くらやみ城~』の感想書いてて実感。)けど鋼錬はみんなよすぎて好きなキャラクターが絞れませんね。みんないいよ。お話に軍隊が深くからんでくるので、当然男性陣の活躍が多くなる。がしかし、このストーリーで、脇役の女性達をこれだけ魅力的に描ける漫画家さんはそうそういないと思います。荒川先生の描く女性像の根底には、常に母性があると思います。


ところで、今月のガンガンにはなんかごてごて付録がついてるそうですね。
出版社がなぜ雑誌に付録を付けるかご存知ですか?
宣伝?読者へのサービス?購買意欲促進?
いえいえ、立ち読み防止です。
雑誌に付録を付けると、本屋は否応なしに紐がけ、あるいはビニールがけをしなくてはなりません。普段はそのまま店頭に並べていたお店でも、付録のある月は立ち読みができなくなるというシステム。先月号のガンガンで、鋼はかなり気になる終わり方をします。今回の付録は、これに乗じて売り上げ増加を狙ったものと思われます。


あ、鋼錬知ってる方コメントくださればうれしいです。身近に話ができる人いなくて寂しいので。
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by tou-g | 2005-07-13 22:49 | 書評(絵本じゃないもの)

くらやみ城の冒険

d0043682_16474196.jpg

マージェリー・シャープ 作
渡辺茂男 訳
ガース・ウィリアムズ 絵

ミス・ビアンカシリーズ1巻「くらやみ城の冒険」

 



私の大好きな冒険物語。もう何度読み返したかわかりません。本当に面白い!このシリーズの主人公ミス・ビアンカは、もしかしたら今まで読んだお話のなかでいちばん好きなヒロインかもしれません。
三匹のねずみ達が、くらやみ城の監獄に捕われた囚人を助けだすというお話。囚人って、もちろん人間ですよ?小さなねずみが本気で人間を救い出すという、この発想がまず面白いですね。ねずみ社会には「囚人友の会」という組織があって、三匹はそこから派遣されるのです。このねずみ社会がかなりしっかり描くかれていて、なんというかリアリティがあっていいです。

スリルのあるストーリー展開ももちろん大きな魅力。恥ずかしい言い方だけど、本当にどきどきわくわくの展開です。
しかしなんといっても素敵なのが個性的な登場人物(?)達でしょう!個性的というと「変わってる」のを売りにしてるみたいで語弊がありますね。んーそうじゃなくって、それぞれ違った性格や魅力を持ってるってことです。
料理部屋ねずみバーナード、
ノルウェイの船乗りニルス、
そして大使のぼうやの飼いねずみ、貴婦人ミス・ビアンカ。

このミス・ビアンカが素敵なのです。人間の上流社会で暮らす美しい白ねずみ。甘やかされて世間知らずでお洒落で社交的。
およそ冒険には向かないような彼女が、機知と勇気と女性的な魅力でもって、困難な仕事を成し遂げるんです。先に述べたような一見鼻につきそうな「貴婦人」的な性格も、不思議とプラスの魅力になってるのです。

「…あなたたちは、力があって敏捷です。わたくしには――」彼女はもう一度、つつましやかに目をおとしました。「女性的な魅力があるだけよ。ですから、わたくしが、それを利用するのをおゆるしにかってね。ではおやすみなさい。…」

自分で言ってますが。けれどその「女性の魅力」と演技力で、ほんとに猫に捕まった男二人を救い出してしまうのだから脱帽です。憧れますねぇ、女性として。
誠実で素朴な家ねずみバーナードと、ミス・ビアンカとの恋愛っぽいのがまたいいんだ。大人っぽいのに微笑ましくて、なんとも可愛らしいです。
あ、もちろんバーナードとニルスも好きですよ。この三匹の組み合わせが好きです。ミス・ビアンカシリーズは8巻まであるのですが、このメンバーで冒険するのはこれだけで、私はこの巻がいちばん好きです。

挿絵も忘れずにごらんください。4巻までの挿絵を描いたガース・ウィリアムズ氏は、『しろいうさぎとくろいうさぎ』という絵本を描いたイラストレーターです。ちゃんとねずみっぽいのに、ミス・ビアンカがなんとも愛らしいじゃありませんか。
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by tou-g | 2005-07-13 16:53 | 書評(絵本じゃないもの)

モロッコ革の本

d0043682_21483320.jpgやっと読みました。
栃折久美子 著
『モロッコ革の本』

面白かった!
製本師の栃折久美子さんの・・・エッセイ?なのかな。
留学体験記のような文体で、とても読みやすかった。
だけど中身はしっかり。いろんな意味で勉強になりました。

いちばん印象に残ったところはやはり、本書の題名でもある「モロッコ革の本」に著者が出会うところ。師匠がつくったその本を著者が手にとって、はっとする場面があるんです。その本はとりたてて装飾があるわけでもない、きわめてシンプルなものだけど、「それは、動きのよい人間の手以外のものがつくれる筈のないものでありながら、そこにつくり手がいたことを忘れさせてしまうほど自然なものに見え」るんです。一個の果物、一輪の花のように、それ自身で生まれてきてそこにあるかのように、完結しているんですよ。著者栃折さんは、その体験で大きな心境の変化をむかえます。
私もここで、「職人」というものについて考えさせられました。これが、職人(アルチザン)というものか・・・。いっとき、食べ物でもなんでもかんでも「手作り」であるということがもてはやされた時期がありましたね。ちょっとくらい形がいびつでも、製品・商品の色や形や味にムラがあっても、それが「手作り」のアジだからと納得して、有難がる風潮があったのではないでしょうか。最近は、それほどでもないですけど。だけど、それで有難がっていた「手作り」というブランドは、手作りでなく、工業製品のほうが相応しかった場合もあるんじゃないか。うまくいえないけど、「手作り」と、手抜きというか「手作り」を言い訳にした妥協が混じっていたのではないでしょうか。人の手によってしか作られない、しかし人の手を感じさせないモノを産み出し、それ自体にいのちを与えてしまうのが「職人」なんだろう。

製本の文化に関してもとても興味深かった。日本と西洋のちがいですね。なぜ日本では、製本(リルユール)が発展しなかったのか。

そのほか、製本の専門的ナ話題もたくさん出てきて、全部理解できたわけではないけれど、製本技術に興味が沸きました。
かといって終始本の話ばかりしているわけでもなくて、著者がブリュッセルで暮し、いろんな人と出会い、日々奮闘している様子が楽しい。そう、「魔女の宅急便」のキキのひとりだちを見ているみたい!(うわぁ、失礼ですかね立派な大人の女性に対して。でもほんとにそんな感じ。私が1人暮しをしたことがないので,こういう暮らし振りをみるとそんなふうに感じるのかも。)


とにかく、ものづくりに携わる人達の生き方を垣間見た気分です。
幸運にもそれが本でしたし。今の時期に読めてよかったです。
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by tou-g | 2005-07-11 00:37 | 書評(絵本じゃないもの)

蜻蛉始末(または晋作語り2)

今、北森鴻さんの『蜻蛉始末』という小説を読んでます。5分の4くらいきたかな。いやあ、怖いですね。内容としては、時代は幕末、長州で生まれた藤田傳三郎という商人にを主人公にしたお話で、この傳三郎の視点と、彼に懐いていた嫌われ者の宇三郎という男の視点から明治維新が描かれているんですが・・・。もちろん長州ですので、高杉晋作や桂、久坂らも出てきます。だけど読み心地がぜんぜん違います。野中信二氏の『高杉晋作』を読んだ時は、なんだか読んでいてじーんと胸が熱くなるような、気分が高揚していくような気分を味わったのですが、今回は逆に時折冷たいものを感じて怖くなります。やっぱり同じ出来事を立場が異なる視点から見てみるのは面白いですね。祭りの空気に酔いきれない人間の苦しみ、でしょうか。ちょっと冷静に身を引いてみれば、長州の攘夷運動、草莽屈起がいかに熱に浮かされた状態であるかが見えてしまう。傳三郎は熱い男で、強くありたい、正しくありたいと、高杉らの生き方に強く憧れる一方で、どこかで我が身を顧みたり、盲目的に信じきれない冷静さを持っているんです。それは宇三郎の言動で呼び起こされるものでもあるんですが。その冷静さこそが悲劇です。いっそそんなものがなくて、最初から最後まで酔ってしまえれば楽だったのに・・・。晋作の言うことに疑いも持たず、利用されていることにも気づかず、自分の行動こそが『正義』だと思い込んでしまえれば、こんな苦悩は知らずに済んだのに。

不甲斐無い武士の代わりに農民や町人に呼びかけ、彼らを戦いに登用した晋作の行動は、歴史的には必要なことで、結果としてうまくいきました。だけど、平穏無事に一生を送ることを期待し、望んでいた人間(宇三郎がまったくこういう男だった)にとって、晋作の呼びかけは破滅への呼びかけでもあるのです。命懸けで戦に行くのですから。野中氏の『高杉晋作』のほうでも、「慎重派の山県(有朋)にとって、晋作の誘いは悪魔の誘惑だった」というような表現があります。晋作は魅力的な人物で(カリスマってやつです)、大半の人間がこの誘惑に負けてしまう。で、晋作もわかってて、人を惹き込むように、意図して効果的な演出をやってるんです。挙兵の際も、「戦いとは本来人間同士の殺し合いであり、酔った状態でなければ十二分の力は発揮できない」ことを知っていて、士気を高めるための演出をする。(晋作の演出家としての才能は抜群だと思います。同時に役者も務めます。)これが怖いな~。

晋作が冷静さを失ったときが怖い。例えば、自分に対して妄信的な軍隊をもった晋作が、もしも「もう倒幕なんていいや。そんなことより薩摩が許せねぇ!禁門の変の恨み、久坂の仇討ちだ!」な~んてことを言い出していたら、明治維新なんて成功してないだろうな。多くの人が死ぬだけ。そりゃもう死ぬでしょう。正義と信じて死ぬでしょう。
よかったね、彼が視野の広い人で。日本の今後を見据えられる人で。

話がわけわからなくなってきたけど、『蜻蛉始末』を読んでいると、どんな理想を掲げていても、きれいごとばっかりじゃ成り立たないのがよ~くわかる。いろんな人の思惑の中で、主人公は煩悶する。さあ、どんな結末に落ち着くのか。


最後に小さな教訓。
祭は一緒になって楽しんだもん勝ちだね。アホになりましょう。
(あくまで祭レベルで)
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by tou-g | 2005-06-05 00:02 | 書評(絵本じゃないもの)

こそあど森の・・・

d0043682_12415512.jpg岡田 淳  作・絵

こそあど森の物語 シリーズ(3)
森のなかの海賊船


うちにあるのはこの一冊だけなんですが、シリーズは全部読んでます。新刊以外。
(どうしよう、早く読みたいんだけど買っちゃおうか、図書館にはいるのを待とうか・・・)



岡田淳さんの人気シリーズです。
この森でもなければ その森でもない
あの森でもなければ どの森でもない
こそあど森の住人たちがくりひろげる、心あたたまるファンタジー

とまあ、ありきたりな紹介をしてしまいましたが、楽しかったり可愛かったり、ちょっとした冒険があったりするだけでなく、すこし切ない話もあって大人でも楽しめる児童文学だと思います。

シリーズとしては、

1.ふしぎなな木の実の料理法
2.まよなかの魔女の秘密
3.森のなかの海賊船
4.ユメミザクラの木の下で
5.ミュージカルスパイス
6.はじまりの樹の神話
7.だれかののぞむもの

と続いているわけですが、

やっぱりまずは『ふしぎな木の実』。人気も高いようです。
内気な男の子スキッパーが、木の実の料理法をたずねて森の住人達とかかわりをもっていく、というお話。

だけど私のお勧めは、『海賊船』もいいけど『ユメミザクラ』ですね、やっぱり。この二つがちょっと切ないお話です。『ユメミザクラ』の後半は、スミレさんという老婦人(そんなに年いってないかも)の、 女 の気持ち?が描かれている。スミレさんの気持ちは、淡い恋心だったんじゃないかなあ・・・

『はじまりの樹』は、このなかでは一番スケールが大きい感じ。ちゃんとシリーズの前作を読んでから読んでほしい作品。え、こんな前から伏線が張られていたの!?
ラストもピタリときて一瞬ゾクッときた。


あとの作品、『魔女』と『ミュージカル』ですが、まあ『魔女』はそれなりに楽しい。ちょっと事件ものかな。がしかし『ミュージカル』はいただけない。
「ある薬草を飲んだ森の住人たちは次々と陽気になり、ミュージカルを歌いだすのです」
え、麻薬ですか?つーか興味本位でそんなもん人に飲ませんな。クスリの力で問題を解決すんな。どうしたんだろう岡田さん、と思いました。
がしかし相手はあの岡田淳さんです。『はじまりの樹』のこともあるし、きっとこの話も今後の伏線かなんかなんだ、うん、きっとそうだ。今もそう思ってます。


岡田淳さんは大好きな作家です。
彼の作品は、普通の人が日常生活のなかからふっとファンタジーの世界に迷い込んでしまうような、そういうストーリーが多いので、登場人物たちがこそあど森というひとつの世界観のなかで生きているようなこのシリーズは、ちょっと異色な気がします。
こそあど森シリーズは、ストーリー主体というよりキャラクター主体という感じがします。
目を離していても、描かれていなくても、彼らは勝手に生きて生活してるんだろうな、と思えるような。
う~ん、そう考えると『ミュージカル』も受け入れるしかないか。まあ彼らも勝手に生きてるんだし、そんなこともあらぁな、と。

ところでですね、この作品のもうひとつの魅力!
それは森の住人たちの住居です!みんななんとも素敵な住まいに住んでいるのです。
主人公の住む、船にウニを乗せたようなかたちの「ウニ丸」をはじめ、木の上の家やポットの形をした家、貝殻の家など、どれも夢のある住まいです。けっこう中の様子も細かく描かれていて、ほんとに住めそうで、楽しそうで、うらやましくなります。
誰か建ててくれないかなぁ。
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by tou-g | 2005-05-21 13:23 | 書評(絵本じゃないもの)