カテゴリ:書評(絵本)( 30 )

よるくま クリスマスのまえのよる

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『よるくま クリスマスのまえのよる 』
著者:酒井駒子
出版社:白泉社

昨日、ツキノワグマ出没のニュースを見て思い出しました(笑)。
そういえば今月の雑誌MOEの表紙にもなってますね。
絵本原画展で見つけて買って帰った一冊。大好きな絵本です。


『よるくま』と『ぼく』がとってもかわいいんです。
読み手を、慈しみの気持ちでいっぱいにしてしまうような絵本。
他の人はどうかわからないけど、私はこの本を読んでいると後半で涙ぐんでしまうんですよね。
こう、母が子を愛する気持ちがね、ほんわ~と伝わってきます。
こどもって、きっとみんな誰かに愛されて生まれてくるんだよ。
最近なんだかこどもをとりまく環境が殺伐としているけれど、そう信じたくなります。

いえ、もちろん、そうあるべきですよね。
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by tou-g | 2006-11-17 00:05 | 書評(絵本)

ハンガリーの絵本『ALOMCIRKUSZ』

『ALOMCIRKUSZ』 
Szegedi Katalin

先日旅行してきたハンガリーで、絵本を買ってきました。

もちろん私はハンガリー語なんてこれっぽっちもわかりません。けれど、雰囲気
ある表紙にひかれて立ち読みしてみると、意外と絵だけでもお話がわかるものな
んですね。(あとで写真も載せます)こころあたたまる可愛らしいお話だったので、つい買ってしまいました!二匹のうさぎの結婚物語です。

二匹のうさぎが結婚するお話といえば、ガース・ウィリアムズの『しろいうさぎと
くろいうさぎ』ですよね。あれも絵の美しい、可愛らしいお話ですが、『ALOMCIRKUSZ
』もまた雰囲気の異なった素敵なお話なのです!

『くろい~』の二匹がシャイな男の子とお姉さんっぽい女の子なら、こちらの二
匹は大人な男の子と素直な女の子。こんなお話です。
前述のとおり私はハンガリー語なんて読めないから、内容はすべて絵からの推測ですよ?

二匹は大きなうさぎのサーカス団で働いていました。おんなのこは綱渡りを、お
とこのこは楽士としてバイオリン演奏を担当していました。二匹のコンビはサー
カスの花形でした。ある日女の子は公演の最中に失敗、綱から落下してしまいま
す。男の子がバイオリンを放り出してあやうくキャッチして無事でしたが、団長
は激怒。女の子は泣きながら家に帰りました。その晩、彼女の家の庭先でバイオ
リンを弾きながらうさぎくんが歌います。「ぼくと結婚してよ」
善は急げ!うさぎさんはクローゼットを引っ繰り返し、友達にも手伝ってもらっ
ておめかしです。二匹はさっそく結婚式をあげました。(さてここで終わってた
ら私は買っていなかったかもしれません。お話はまだ続きます。)楽しい新婚生
活を送る日々、うさぎさんのお腹はふくらんで、ワンピースのボタンがとまらな
くなりました。そう、彼女に赤ちゃんができたのです。しかしうさぎくんはサー
カスでお仕事。ひとりで淋しいうさぎさん。(ここは解釈がわかれるところ。「マタニティブルーで実家に帰ったんじゃない?」という意見も!)だけど家で待つ彼女のもとに、旦那
さまは顔がかくれるほどの花束を抱えて帰ってくるのです。そしてある晩、うさ
ぎさんはベッドが転がり落ちんばかりのたくさんのあかちゃんを授かりました。
うさぎくんもびっくり!
おしまい。


落ち込んだ女の子に対するフォロー、
女の子に向ける、まるで歳の離れた妹を見守る兄のような優しいまなざし。

このうさぎくんは包容力ある大人の男ですよ。

こんな旦那さまなら…ちょっと結婚に対する憧れも湧きますね。
ああ、私はいつのまにこんなロマンチストになったん
だろう(苦笑)!恥ずかしいですね。


日本語版はもう出版されてるのでしょうか。
まだなら出版したらいいのにな。
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by tou-g | 2006-03-16 10:51 | 書評(絵本)

ジオジオのかんむり

「ジオジオのかんむり」
作: 岸田 衿子
絵: 中谷 千代子
出版社: 福音館書店


久しぶりに読みたい一冊。
他の人のレビューを読むに、大人になった今読むと、また昔と違った感慨があるような気がします。
静かでやさしいこのお話にしっくりと合った絵が素晴らしいです。お話をつくった人と絵を描いた人が違うということが、逆に不思議に感じられるほど、なんというか一冊の本なのです。
ずっと昔からあった、外国の童話のような絵本です。

子供の頃読んだときには、「ライオンの冠のなかに小鳥の巣があるなんてかわいいなぁ」「しかも安全な上暖かくてすごく合理的やなぁ」とか思って喜んでいたのですが、この話、最後はジオジオの目が見えなくなってしまってるんですね。忘れてた・・・。
(いや、別にそれが悪い展開なんじゃなくて、やさしいハッピーエンドなんですけどね)

もう一回、ちゃんと読んだらきっと、もっと深いと思うのですよ。

このところなかなか図書館に行けないんだけど、読みたいなぁ。
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by tou-g | 2006-01-04 23:57 | 書評(絵本)

賢者のおくりもの

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オー・ヘンリー 著 
リスベート・ツヴェルガー 画
矢川 澄子 訳

冨山房 版



もうクリスマスも過ぎてしまってすっかり年の瀬ですが、この絵本を思い出しました。
やっぱり基本に戻ってこれでしょう。

ストーリーを最初に知ったのは、むかーしのテレビCMでした。
幼心に素敵やなぁと思っていたのです。(や、でもあれはCMがうまかったのもあると思う)
タイトルを知ったのはもっと後、中学か高校生のときでしたが、これもまたいいですよね。
『賢者の贈り物』。結局お互いにとって役に立たないものを贈ってしまった『愚か者』を、クリスマスの三賢者にかけて『賢者』と呼ぶ、この含みが深いじゃないですか。

で、最近書店に並んでいるのを見たら、絵もよかった、という。
う~ん、リスベート・ツヴェルガーの絵が、またこの物語に合っているじゃありませんか。
単に美しいだけじゃなく、よくいえば清廉な雰囲気、悪く言えば貧しさとか侘しさがでています。
いくら美しい女性像が得意だからといって、これがアルフォンス・ミュシャではいけないわけです。彼の描く女性達は皆、『満ち足りた美しさ』を持ってますからね。
間違っても、金に困って髪を売っちゃうような生活はしてなさそう(笑)。
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by tou-g | 2005-12-28 03:33 | 書評(絵本)

世界で一番の贈りもの

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「世界で一番の贈りもの」
マイケル・モーパーゴ/作 
マイケル・フォアマン/絵 
佐藤見果夢/訳
評論社 





こどもよりも、大人が読んだほうが感じるものが多いのではないでしょうか。
実際に第一次大戦中に起きた、非公式クリスマス休戦のお話。
神様がどうとか、イエス様マリア様にこだわるのではなく、こんな奇跡のような出来事があることにこそが、クリスマスの神秘というか凄さだと思いました。

たまたま書店で手にとって、ひとり目頭を熱くしていました。
主人公が、古道具屋で買った古い机の中から手紙を発見、戦地の青年から妻へあてたその手紙のなかに、1914年に起きたクリスマス休戦の内容が綴られています。対峙していた英独両軍の兵士達が、クリスマスの一夜、互いに休戦を呼び掛け共にクリスマスを祝いあったというのです。

手紙全体から、書き手の、読み手に対する愛情が伝わってくるんですよ。


戦場では互いに殺し合う兵士達も、故郷へ帰ればそれぞれ趣味を持ち、悩みを抱え、家族や友人のいる一人の人間なのです。敵国の兵が、無事家族の元に帰れることを祈ることもある。
人間同士、好きで殺しあってるわけないじゃないですか。
正直、戦争がこの世から完全になくなることなんて無いと思います。
けれどやっぱり・・・虚しい行為ですよね。




最後の1ページが泣かせます。
ううっ、この文章にこの絵を持ってくるなんて…。
主人公はこの手紙を、本来の持ち主である老夫人に返しにいきます。

「ジム、帰ってきてくださったのね」

最後のページは彼女の主人公への、いえ今は亡き夫ジムへの言葉なのです。
そしてその挿し絵では、窓の外、雪のなかに手紙を携えて寂しげに佇む軍服姿の青年が描かれています。戦場から、生きて妻の元に帰ることのなかったジムは、ジムの心は、今、手紙とともに彼女のもとへ帰ることができたのでしょうか。
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by tou-g | 2005-12-08 22:25 | 書評(絵本)

クリスマスまであと9日~セシのポサダの日~

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作: マリー・ホール・エッツ/アウロラ・ラバスティダ
訳: 田辺 五十鈴
出版社: 冨山房
発行日: 1974年





サンタクロースの出てこないクリスマスのお話。
そうです。サンタクロースがプレゼントを配るばかりがクリスマスではないのです。

ぱっと見地味だけど、すごくいい絵本だと思います。

メキシコのクリスマスまでに行われるお祭りポサダのお話。
私たちがイメージする、サンタやらツリーやらプレゼントや雪だけが、クリスマスではないのですよ。まったくちがったやり方で、クリスマスを祝う人達もいる。
メキシコの人々がどんなものを食べ、住まいの中はこんなふうで、町中の様子はあんなふうで……と、生き生き写実的な描かれ方をしていて、とても興味深く、そういった意味でもとても面白い。
私のクリスマスイメージって貧困だったのね、と思う。


ポサダにはピニャタというお菓子や果物などを詰め込むくす玉のようなものが登場します。
ただ、くす玉とちがって、大きさや形はさまざまです。くまの形だったり、馬だったり。これを売っている市場のお店の様子はそれは楽しそうです。
このピニャタはポサダの日につるされ、子どもたちによって、割られる運命にあります。
セシという女の子が初めてポサダをするちょっとした小さな出来事がこの絵本の内容です。


小さな女の子の感情がつまっています。
ポサダの日を指折り数えて待つセシ。
たくさんのピニャタの中から自分のピニャタを選ぶセシ。
お祭りは楽しみで誇らしいのだけれど、大好きなピニャタは割られてしまうのです。

セシは木の陰に立って、手で顔を覆ってしまいます。
「みんなに、あたしのピニャタを割らせないで!」


・・・・・
胸がいっぱいになります。
他の子どもたちや大人たちにとって、たいしたことじゃないのかもしれない。
(そういう行事なんだしね。)
本人にとっても、大人になってから笑い話として思い出すこともあるでしょう。
けれど幼いころ、誰しもこんな哀しく切ない思いをしたことがあるんじゃないかな。

最後の結末がまた美しく、やさしい。
独特の色遣いで描かれた絵が、彼の地のあたたかい雰囲気を伝えてくれます。
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by tou-g | 2005-12-03 15:15 | 書評(絵本)

まどからおくりもの

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「まどから おくりもの」
作・絵: 五味 太郎
出版社: 偕成社





クリスマス絵本特集その2。
五味太郎さんのしかけ絵本。
すごく面白いです。ページをめくるたび楽しい。
サンタさんと一緒に騙されましょう。

クリスマスの夜。
サンタクロースさんは窓から見えた家の中の様子を頼りに、それぞれの家主にふさわしいプレゼントを窓から配っていくのですが・・・
という話。

穴あき仕掛け効果を存分に使った絵本。うまいです。
しかけの面白さももちろん魅力ですが、ラストシーンがいい。
サンタさんが思い込みで贈った的外れなプレゼントを、みんな嬉しそうにうまく使ってるんですよね。ユーモラスでもあるけれど、ほのぼのと暖かい気持ちになります。

そう、的外れなプレゼントでもいいのです。

贈る側は相手に喜んでもらおうとプレゼントを選び、
受け取る側は嬉しく、楽しい気持ちでそれを受け取る。

贈り物をするとは、そういうことなんだね。
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by tou-g | 2005-11-29 01:44 | 書評(絵本)

さむがりやのサンタ

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「さむがりやのサンタ」
作・絵: レイモンド・ブリッグズ
訳: すがはら ひろくに
出版社: 福音館書店




私はクリスチャンではないので、クリスマスという行事にさほど思い入れは無いのですが、ポピュラーな行事だけにクリスマスものの絵本はさすがにいいものがたくさんあるなぁと思います。というわけで、クリスマス絵本特集。

気難しいサンタのおっちゃんが、一日中ぶつぶつ呟いている絵本。
漫画形式でサンタの一日を追う。

なんだか妙に読み応えがあって、面白いんですよねぇ(笑)。
朝起きて、歯磨きして顔を洗って朝食を食べて、とかいう動作が逐一描かれていて、ヨーロッパの生活の雰囲気がよくわかって面白い。
めっちゃ生活感のあるサンタ(笑)。
ぶちぶち文句をいいながらプレゼントを配り歩くサンタ。
牛乳配達のお兄さんと挨拶を交わすサンタ。

ユーモラスで、見ていてほんわかした気分になります。

タイトルもいいよね。さむがりやのサンタ。
うん、ぜったい寒がりだよね、このサンタ。
一仕事終えた後の、ゆったりと満ち足りたサンタ。う~ん、大人ならではの至福の時間ですね。
でもって、最後の捨て台詞がまたさいこう(笑)!
愛すべきサンタよ、今年もありがとう。
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by tou-g | 2005-11-23 14:51 | 書評(絵本)

仔牛の春

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五味太郎 作

静かに引き込まれる絵本。
五味さん今度はそうきたか、という感じ。


五味さんの絵本はいつも淡々とポップで笑えるけれど、
これはちょっと雰囲気がちがいます。
ゆったりと、静かな空気が流れています。

『静かな歓び』

こんなのもいいね。



最後のオチが可愛くて、にへっと頬が緩みます。
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by tou-g | 2005-11-08 23:49 | 書評(絵本)

こんとあき

d0043682_1782030.jpg林明子 さく

こんは、 あかちゃんを まっていました。

こんは、 おばあちゃんに あかちゃんのおもりを

たのまれて、 さきゅうまちから きたのです。



めっちゃかわいいお話です。
きつねのぬいぐるみ『こん』と、おんなのこ『あき』が電車に乗っておばあちゃんの家まで旅をします。
小さなあきちゃんよりももっとちいさな体で、こんはどんなときも「だいじょうぶ、だいじょうぶ」とあきを導いてくれるのです。
しっぽをドアにはさまれても、犬にさらわれても。
あきを必死で守ろうとする、またあきに心配をかけまいとするこんのけなげな姿がたまりません。

こんにとって、あきは愛しくてならないのですよ。
あきが赤ちゃんのときから、見守りつづけてきたのですから。

そしてあきも、ぼろぼろになってしまったこんをおぶって、おばあちゃんの家まで走るのです。
小さい女の子にとって、だんだん夜が近づいてくるなか、知らない街をたったひとりで(こんもいますが)走るのは大冒険だったことでしょう。
無事に冒険をなしとげたあきは、ひとつ、おおきくなったにちがいありません。



おばあちゃんの家にたどり着いた二人。
こんはおばあちゃんの手によって、もとどおり、きれいなきつねに戻してもらいました。
あきの前では妙に大人びているこんも、おばあちゃんの前ではすこしだけ、
甘えたになってしまうのです。微笑ましいね。


さいごまで読んで、もう一度最初のページに戻ってみてください。
じーんと幸せな気分になりますよ。
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by tou-g | 2005-10-23 17:22 | 書評(絵本)