自来也小町

d0043682_23401163.jpg自来也小町
宝引の辰捕者帳

泡坂 妻夫  著
文藝春秋  版





私が読んだものはハードカバーだったのですが、画像が見つかりませんでした!着物好きだからか、結構印象的な表紙だったんですけれど。これは文庫版の表紙です。


神田千両町の岡っ引き、宝引きの辰の活躍を、毎回異なった語り手が物語る短編推理小説です。作者、泡坂妻夫さんはミステリ作家の大御所ですから、どれも短いながらミステリとしてひねりがきいてて、とっても面白く読めます。

が、それだけじゃないってのが魅力!
以前の日記にも書きましたが、いかにも江戸らしい人情とか、この時代の様子、文化・風俗が良く描かれていて、時代小説の良さがしっかりでてます。

やはりおすすめは一作目、二作目の『自来也小町』と『冬の大菊』!

『自来也小町』
吉祥画として人気を集め、何百両もの値がついた蛙の絵が次々と盗まれる。
そして現場には『自来也』の文字が・・・。怪盗自来也は誰なのか、そしてその目的は?というお話。犯人も辰親分もいいんです!江戸っ子の『粋』を象徴したようなお話ですね。意地があってひたむきで、洒落っ気があって、情があって。
落語を聞いたあとのような読後感です。

『冬の大菊』
大店の両替商の娘と、しがない足袋職人。許されぬ恋に、二人が身投げ心中をしようとした大川端で、突如季節はずれの花火が打ち上がりました。誰が?何のために?
割と短い話で、大きな事件ではないけれど、この一夜の花火がいろいろな人に影響を及ぼしています。その人間模様が面白い。
結局、一時は死を決意していたこの二人は、明るく笑って別れます。
足袋屋の青年の語りがいいのです・・・!二人は結ばれないので悲恋なんだけど、とっても前向きで、これからふたりとも、納得して幸せになるんじゃねぇかなぁ(と、江戸の親爺風に)。甘酸っぱく、切なく、清清しい読後感です。あ、これも人情物の落語みたいです。
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by tou-g | 2006-12-13 00:46
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